海賊版対策と広告収入問題に悩むオンライン テレビ

|


Japn.internet.com の記事
http://japan.internet.com/wmnews/20080606/12.html

 数年前には程遠いと見られていたビデオ オンデマンド (VOD) 革命だが、現在に至るもすべてが期待どおりには進んでいるわけではない。

ニューヨークで開催された広告関連のカンファレンス『Advertising 2.0』(6月4-5日) におけるテレビ企業経営陣のパネルディスカッションではこの問題について、配信の枠組みが複雑であることなど、いくつかの理由が議論された。

Viacom 傘下の MTV Networks でデジタル配信および事業開発担当の上級バイスプレジデントを務める Greg Clayman 氏は次のように述べた。「われわれは、放送ネットワーク、Web サイト、共同配信番組の各分野で事業をどのように切り分けるかについて、いまだに議論を続けている」

米国では1か月あたりのオンラインビデオ視聴数が100億本を超えていることを考えると、Web 上でのビデオ配信はもはやニッチな市場とは呼べなくなってきている。

テレビ会社は、ユーザーがオンラインでアクセスしやすいチャンネルを自らが提供しなければ、海賊版が出回ってしまうということを学びつつある。

Clayman 氏によると、MTV Networks の『Comedy Central』チャンネルで放送中の『South Park』がピアツーピア サイト『BitTorrent』上で最も頻繁に共有されている番組であることを知って、同社では危機感を覚えたという。

MTV は、こうした動きへの対抗策として、『South Park Studios』という広告収入による Web サイトを開設し、過去に放送された South Park の全エピソードをノーカットで提供している。

Clayman 氏によると、このサイトは大きな成功を収めているという。BitTorrent 上で交換される South Park の番組ファイルは減少し、代わって視聴率が上昇した。

Walt Disney Company の上級バイスプレジデント Bernard Gershon 氏は、同社も同じような方法に辿り着いたと語り、「オンラインで質の高いコンテンツを提供していくことが、海賊版を抑える有効な対策であることは確かだ」と認めた。

より難しい問題は、いったんオンライン化したコンテンツからどのように収入を得るかということだ。『iTunes Store』のビジネスモデルは単純明快で、視聴者は1.99ドルを支払えば、『Lost』のような番組を1話分丸ごとダウンロード購入できるようになっている。しかし、ストリーミング ビデオの場合はもっと厄介だ。

NBC UniversalNews Corporation の共同事業である動画ストリーミング サービス『Hulu』のモデルでは、ノーカット版のテレビ番組を、冒頭と中間に広告を挿入して配信しているが、これらは従来のディスプレイ広告のように対象を絞った広告ではない。

パネルディスカッションの出席者によると、ビデオ オンデマンドにとっての最終的な目標は動的広告配信だが、そのようなモデルに対応できるほど技術が進歩していないという。

動画配信と収益性の問題、P2Pでの配布の問題は非常に難しい問題。当面は、現状のような試行錯誤が続くと思われる。

 

前記事
TSUTAYA がアクトビラでデジタルテレビ向け動画配信を開始

次記事
ニコニコ動画に小池百合子議員が公式チャンネル 「Yuri Channel」

広告




広告