NBCの五輪ウェブ戦略は失敗に終わった(NBCがどう言おうと)

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Tech Crunch Japanese
http://jp.techcrunch.com/archives/20080825no-matter-how-nbc-spins-it-olympics-web-strategy-comes-up-a-loser/

Silverlightベースのサイトを特別に設け、2000時間超のオンライン動画を出しても、NBCは好機をモノにできなかったようで、同局のオリンピックWeb中継の売上げは丸め誤差程度の水準に留まった。

NBCOlympics.comが流した動画ストリーミングは7200万本で、ページビュー12億件を獲得した。が、1日当たりの平均ビジター数では430万人で、Yahoo Sportsの470万人にも届かず(ソース: Nieisen Online)、動画すら出していないYahooに負けた。 

NBCが今日(米国時間8/25)ニューヨークタイムズに成功を裏づける統計を延々と並べているが、これはeMarketerが「NBCのオリンピック中継の動画広告収入はたったの$5.75M(575万ドル)」と金曜報じたことを受けたもの。 比較のため言うなら、今年3月CBSがNCAAバスケットボールトーナメントをサイトでライブ中継した際の動画広告収入は$23M(2300万ドル)だった。

天下の五輪なんだからNBCは、マーチ・マッドネスでCBSが挙げた以上の儲けは当然出せたはず。ところが、NBCはオンラインで視聴者が観れる素材に制限を加える決定を下した。特にライブストリーミング。これはTV視聴者の共食いを恐れ、TV放送のためウェブ生中継を犠牲にした。

だが、この恐れには実はなんの根拠もないことが実証されている。何故なら大体の人はどちらかひとつ選べと言われたらオリンピック中継はオンラインよりテレビで観る方を好むからだ。ウェブで流した情報をテレビで手短かに流すことで(女子ビーチバレー以外の、米国にメダルの見込みがない種目は短くていい)視聴者はもっと拡大できたものを、NBCはその大きなチャンスを逃した。

先に紹介したeMarketerの推計には、ページビュー12億件から入るバナー広告収入が含まれていないが、CPMによっては動画広告収入よりバナー広告の方が多く挙がった可能性もある。― 例えば$10のCPMなら$12M(1200万ドル)だしね。NBCが今回オリンピック中継で得た収入は合計$1B(10億ドル)で、大半はテレビ広告からの収入だから、どっちみち丸め誤差程度の微々たる水準であることには変わりないのだが。…ね?

ところがどっこい、これが丸め誤差で収まる話ではないのだ。 NBCは今回、五輪独占動画使用権に$900M(9億ドル)払った。つまり利益は大体$100M(1億ドル)で、ちょっと手を置くだけでメーターの針が振れるような(吹けば飛ぶような)利益水準だ。サイト運用およびバンド幅の経費を差し引けばオンライン売上げはたちまち泡と消えるだろう。こう置き換えて考えるといい。「経費から$25M(2500万ドル)出るごとに利益は 25%増えたはず」なのだと。

が、NBCは未だにウェブを、実験以上のものとは考えていないのである。

こちらは手厳しいほうの記事。確かに動画すら出していないサイトにユニークビジター数で負けるようでは、失敗といわざるを得ないか。それではそもそもトラフィックの誘導戦略を間違ったということになる。

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