動画配信・DRM・VSEO・動画マーケティングで「IPTV」と一致するもの



http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100106/342911/

 今回合意に達した共通ファイル・フォーマットは、デジタル・エンタテインメント向けのオープンな仕様で、DVDやBlu-rayのようにあらゆる企業に対してライセンスされるものになる。インターネット、携帯電話機、ケーブルテレビ、IPTVなど、このファイルフォーマットはDECEが規定する仕様に沿ったあらゆくサービスや機器で再生でき、「一度購入すれば、どこでも見られる」環境を実現するという。

機器に紐づいた形では、やはり所有の感覚がうまれないので、これがちゃんとできるようになれば、DRMに関しての流れが変わる可能性はある。
RBB Today の記事
http://www.rbbtoday.com/news/20081125/55963.html
 NHKオンデマンドがVODサービスあるいはIPTVサービスのキラーになる可能性はある。プロジェクトXや大河ドラマなどの人気番組はもちろん、利用 者の多い語学番組も視聴に向いているコンテンツといえるだろう。語学番組に関しての詳細は不明だが「新3か月トピック英会話」「100語でスタート! 英 会話」「テレビで中国語」「テレビでイタリア語」などが挙がっている。所氏が言うように、VODという言葉を聞いてもピンと来ない人々は大勢いる。これら の人がNHKを介して接触するようになれば、マーケット創出への第一歩となるかもりれない。
優良なコンテンツはふんだんにあるだけに、こちらの展開には期待したいが、コンテンツごとに数百円ずつとなるとNHKでもなかなか難しいかも知れない。
Nikkei IT Pro の記事
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080929/315576/

 中国の大手検索エンジンBaidu(百度)は現地時間2008年9月28日,中国の大手IPTVプロバイダであるUiTVと提携を結んだと発表した。自 社のオンライン動画配信事業「Baidu Internet TV Channel」の資産を提供するのと引き換えに,UiTVから株式の8.3%と1500万ドルを取得する。

 Baidu Internet TV Channelは,従来通りBaiduの映画関連サイト(http://movie.baidu.com/)上でホスティングを行い,UiTVが運営する。なお,提携にはBaiduのビデオ検索サービス(http://video.baidu.com/)は含まれない。

 Baidu Internet TV Channelでは,著作権使用の承認を受けた映画やテレビ番組をダウンロード配信している。広告費でまかなっているため,ユーザーは無償でコンテンツを入手できる。

 Baiduのマーケティングおよびビジネス開発担当バイス・プレジデント,Xuyang Ren氏は「この提携により,UiTVはIPTV市場でいっそう競争力を増し,当社はUiTVの将来的成長から利益を受ける機会を得られる」と説明した。

中国国内では投稿サイトも認可制で、自由競争的な発展はなさそうなので、どのような提携が進むかなどは見当もつかないが、市場のサイズは無視できない大きさなので、これからも観察していく必要はあり。

Japan.internet.com
http://japan.internet.com/wmnews/20080812/5.html

株式会社 USEN は2008年8月11日、テレビ向け動画配信サービス「GyaO NEXT(ギャオネクスト)」専用端末にブラウザ機能を追加した。

GyaO NEXT は、テレビ向けの IP 動画配信サービス(IPTV サービス)で、ハリウッド映画・ドラマ・アニメなどの動画コンテンツのほか、カラオケコンテンツ、BBC ワールドニュース、ナショナルジオグラフィックチャンネルなどのチャンネルサービスの配信を行なっている。

今回端末新機能として追加したブラウザ機能は、OperaVer.9.5 for device を採用。リモコンでの簡便なブラウザ操作が可能なほか、上下スクロールボタンでフォーカス移動、スクロールも可能だ。

ブラウザの「戻る」「進む」「中止」「更新」機能もリモコンボタンで可能。また、リモコンボタンを活用した、携帯電話と同等の文字入力機能を搭載。携帯メール文字入力操作と同じ操作で、簡便な文字入力が可能となっている。

どんな大手がやっても、それほど成功していないので、ネットだけのビジネスで専用端末を販売するのは苦しいのかも。

Internet Watch の記事
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/06/24/20049.html

 IP技術を利用した動画配信サービス「IPTV」に関して、仕様を共通化することで普及・促進を目指す「有限責任中間法人IPTVフォーラム」が、通信事業者や家電メーカー、放送事業者などの参加により発足した。仕様の標準化により、同じ機器で異なる通信事業者のIPTVサービスを利用できるようにすることを目的としており、IPTVフォーラムでは最初の標準仕様を8月末をめどに策定する。

 IPTVフォーラムはこれまで、民間協議会「次世代ブロードバンドコンテンツ流通フォーラム」に設置されたフォーラムとして、2006年から IPTVの技術検討を重ねてきた。IPTVフォーラムでは、最初の標準仕様が策定される見通しとなったことなどから、フォーラムを有限責任中間法人に移行。IPTVサービスの仕様維持団体として、恒久的、継続的な技術およびサービスの基盤を整えるとしている。

 IPTVフォーラムには発足時のメンバーとして、通信事業者4社(NTT、NTTぷらら、KDDI、ソフトバンクBB)、家電メーカー5社(シャープ、ソニー、東芝、日立製作所、松下電器産業)、放送事業者6社(NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京)などが参加。理事長は、慶應義塾大学の村井純教授が務める。

 IPTVフォーラムでは今後、8月末をめどに最初の標準仕様(バージョン1.0)を策定する。IPTVフォーラムで技術委員会の主査を務めるフジテレビの関??行氏は、標準仕様について「市販されている端末で、どの通信事業者のサービスでも使えるようにというのがコンセプト」と説明。仕様には、 VODサービスやダウンロード型サービス、IP放送やIP再送信サービスなどが含まれ、標準仕様に基づいた機器であれば、同一の機器で異なる通信事業者の IPTVサービスが利用できるようにすることを目指す。

 また、「アクトビラ」やNTTの「ひかりTV」など、既に提供されている動画配信サービスについては、これを包含するような形での仕様になると説明。ITU-Tなどでの国際標準化の動きとも歩調を合わせていき、IPTVフォーラムの標準仕様についてはWebなどで誰でも見られる形で公開していくとした。

メモ。

IT Media News の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0806/11/news039.html

 米Cisco Systemsは6月10日、デンマークのデジタルサービス管理(DSM)企業DiviTechの買収を発表した。買収金額は非公開。取引はCiscoの第4四半期(5~7月期)中に完了する見通し。

 DiviTechは、動画ネットワークの構築や修正、管理を行うDSMソリューションを、メディア企業やCATV局、IPTVサービスプロバイダーに提供している。メディア企業はDiviTechの技術やソフトウェアにより、ローカルニュースやオンデマンドの動画などのローカライズされたコンテンツの配給を集約し、簡単に配信できるという。

 Ciscoは、DiviTechのソリューションが、Ciscoが自社開発した技術や買収で得た専門知識などを補完し、Ciscoの動画配信戦略をさらに強化するものとみている。買収後、DiviTechの製品をネットワークエレメント管理ソリューション「Cisco ROSA」に統合する計画で、1つのモジュラー製品で総合的なデジタル動画管理が可能なエンド・ツー・エンドのプラットフォーム作成を目指す。

 買収後、DiviTechはCiscoのデジタルメディア事業部門の傘下に入る。

インフラベンダー側の派手なリリースは最近はあまり聞こえてこなかったが、久しぶりに Cisco  の買収の話題。メモ。

Nikkei BP Net の記事
http://www.nikkeibp.co.jp/news/manu08q2/574307/

通信事業者や放送事業者、機器メーカーらで構成する「IPTVフォーラム」は2008年6月9日、IPTVサービスの受信機に関する技術仕様案をまとめたことを発表した。この技術仕様案は、IPマルチキャスト技術を用いた放送サービスと、ストリーミングやダウンロードで再生するVODサービスを想定する。この技術仕様に則って受信機を開発することにより、例えば「アクトビラ」や「ひかりTV」などのサービスに対応できるようになる。任意団体であるIPTV フォーラムは今回の成果を新たに発足する規格団体に引き継ぎ、その規格団体が受信機仕様の確定やメンテナンス作業を進める計画である。「2008年6月中に新しい団体の設立について発表する予定」(IPTVフォーラムの事務局)とする。

仕様が統一化されるというのはよいことだが、多チャンネルのスカパーや、双方向のBSデジタルなどでもそれほど利用が広がっていない状況なので、そもそも需要があるかどうかは疑問。

マイコミジャーナル
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/04/10/006/

英BBCは4月9日 (現地時間)、仏カンヌで開催されているMipTV-Miliaカンファレンスの基調講演で、Nintendo UKとのコラボレーションで実現した「BBC iPlayer on Wii (ベータ)」を発表した。すでにサービスを開始している。

BBC iPlayer (PC版)

iPlayerはインターネット経由でBBCのテレビ番組を配信するオンデマンドサービスだ。パソコン、iPhone/ iPod touchを用いて、過去1週間以内に放映された番組を無料で視聴できる。Windows PCではダウンロードも可能だ。

BBCは「iPlayerプログラム、特にダウンロード版のプログラムは、パソコンよりもテレビのスクリーンで視聴した方が再生品質に優れる」とい う。Wii版はストリーミングのみだが、iPlayerをリビングルームのテレビで最も手軽に視聴可能にするサービスとなる。利用には1Mbps以上のイ ンターネット接続と、Internet Channel (500 Wiiポイント)の購入が必要。インストール後、www.bbc.co.uk/iplayerにアクセスする。現段階では再生が不安定になるケースも確認 されているが、BBCは今後数週間をかけてエンコーディングレートや再生ウインドウのサイズなどを調整するとしている。

このほかBBCはiPlayerのサイトを改良し、iPlayerへのアクセス方法を説明する「BBC iPlayer Latest」というセクションを追加した。

BBCは2007年7月にiPlayerのWindows版の公開ベータを開始。その後、着々とサービスの改善を行ってきた。BBC researchが昨年のクリスマスから収集している統計によると、今年1月のダウンロード/ ストリーミングのリクエストは1120万件。それが2月に1400万件、3月に1720万件と毎月約25%の伸びで増加している。週間の平均ユーザー数も 1月の75万人が3月には110万人に増加した。人気番組のトップ3は、1. The Apprentice、2. Louis Theroux: Behind Bars 、3. Ashes To Ashesとなっている。

イギリスでは、やはりBBCでやるとインパクトの大きい発表となる。日本でNHKがどの端末でテストするかは興味深いところ。
ZDnet Japan の記事
http://japan.zdnet.com/release/story/0,3800075480,00028521p,00.htm

アジア太平洋地域のハイテク知識が豊富な若者たちは、エレクトロニックエンターテインメントの探求に膨大な時間を費やしている。米国の調査会社ABIリ サーチの調査レポート「アジア太平洋地域のダウンロード可能なストリーミングコンテンツ:市場、規制環境、影響要因、ビジネスチャンス」は、アジア太平洋 地域のオンラインコンテンツの利用状況に焦点を当て、2013年末までに同地域のオンラインメディアの取り組みによる年間収益は65億ドルを上回ると予測 している。

「現在、通信会社はメディアとエンターテインメントを、VoIP、IPTV、固定/モバイルの急速な人気の高まりによって下落している音声サービス収益を補う効果的な方法として見なしている」とABIリサーチのアナリストSerene Fong氏は言う。

ア ジアの通信企業は、トリプルプレイとクアドロプルプレイの時代に向けて奮起し、顧客に家庭や屋外でのより良い接続サービスを提供している。無線技術の向上 とモバイルデバイスの進歩で、この方向性は一層強固なものとなった。「2.5G、3G、iモード、HSPA端末によって、消費者は外出先でも比較的高速で 接続できるWeb機能を手に入れた。日本、韓国、香港といった先進国では、多くの人々が通勤中にモバイルデバイスでショートクリップやテレビ番組を見た り、音楽を聴いたり、ゲームをして時間を潰している」と Fong氏は言う。

現在日本はアジア太平洋地域における合法コンテンツ収益が最 も高く、今後も市場をリードし続け、6年間、年間平均成長率6%で成長すると予測される。だがABIリサーチは、合法のオンラインコンテンツ市場の見通し は明るいものの、高速接続の実現によってP2Pファイル共有サイトにおけるコンテンツの著作権侵害の横行が偶発的に生まれたとも指摘している。

ABI リサーチの調査レポート「アジア太平洋地域のダウンロード可能なストリーミングコンテンツ:市場、規制環境、影響要因、ビジネスチャンス」は、6つの主要 市場である日本、韓国、香港、台湾、中国、インドにおけるオンラインメディアへの取り組みを分析している。また、これらの市場の現在の成長段階を明示し、 ビジネスの潜在性の詳細、様々な利害関係者の戦略と、彼らによって業界がいかに形成されているかを記載している。メディア業界が積極的、あるいは消極的に 対応しているこれらの困難な問題を調査している。
動画、音声配信のビジネスの立ち上がりは、アジアのほうが早いかも。

ITPro の記事
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080225/294638/


 東芝がHD-DVDから撤退することを決めた。キッカケになったのは,米Warner Brothersが,それまでHD-DVDとBlu-rayの両方式でリリースしていた映画を,Blu-ray方式に一本化することを決めたことである。 この結果,米ハリウッドメジャーの映画スタジオのシェア(市場占有率)はBlu-ray陣営が68.4%,HD-DVD陣営が22.8%となり,両陣営に 決定的な差が付いた。2月に入るとBest BuyやWal-Mart Stores,Amazon.comなど米国の小売店大手が次々とBlu-ray方式の支持を表明,東芝がHD-DVDから撤退する決定打となった。日本 でもビデオレンタル事業者などによる研究会が,期間限定ながらBlu-ray対応ソフトのレンタルを開始するなど,Blu-ray優勢の雰囲気が定着しつ つある。

 2006年のソフト販売を機に表面化したHD-DVDとBlu-rayによる次世代DVD規格の争いは,Blu-rayが勝利を収めた。ただし, このままBlu-rayが順調に普及するかという点については,予断を許さない。急速に市場規模を拡大しているインターネットを使った動画配信が, HDTV(高精細度テレビ)動画の配信に乗り出したからだ。

 2007年9月1日,デジタルテレビ向けポータルサービスの「アクトビラ」が,HDTV作品を含む映像コンテンツの配信サービスを開始した。 2008年1月15日には米Appleが同社のコンテンツ配信サービス「iTunes」でHDTV作品を含む映画のレンタル事業を開始するなど,世界的に HDTV動画をネット配信する動きが本格化している。また日本では2008年3月末に,NTTグループの次世代ネットワーク(NGN)を利用したIPTV サービスの開始も予定されており,VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスを含むHDTVによる映像配信が行われるとみられている。

 こうしたなか,映像配信の重要性の高まりを象徴する出来事が起きた。2008年2月12日,レンタルビデオ事業大手であるTSUTAYAグループ のTSUTAYA BBが,アクトビラ上での映像配信サービスを3月に開始すると発表した。サービス開始から3カ月以内にHDTVによるコンテンツ配信を開始する予定であ る。TSUTAYA BBの親会社であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)はまだ本業のレンタルビデオ事業で次世代DVDのレンタルを開始しておらず, HDTV映像のソフトレンタルは次世代DVDとネット配信が同時期に始まるか,むしろネット配信が先行する可能性が出てきた。

 デジタルコンテンツ協会の調査によると,2002年に2722億円だった国内のDVD販売市場は,2005年の3915億円をピークに2006年 には前年比約19%減の3184億円と減少に転じた。2006年に前年比25%増の2858億円と成長を続けるDVDレンタル市場も,2005年の前年比 約102%増の伸びと比べて勢いは急速に落ちている。こうした旧来の映像ソフト売上に対して,動画配信市場は2002年の39億円から毎年2倍を超える急 成長を継続して続けており,2006年には647億円まで拡大している。

 AppleのSteave Jobs・CEOは「(動画配信による映画のレンタルは)購入する場合に比べて価格が安く,視聴者のすそ野が広がるだろう」と語る。ネット配信は,コンテ ンツを見るのに店舗に出かける必要がなく,24時間いつでも見たいものを見られる。レンタルの作品リストがそのまま自宅のライブラリーになるわけで,単に レンタル市場を置き換えるだけでなく,DVD販売の市場もある程度取り込みながら市場の拡大が見込まれる。HDTVコンテンツの覇者を巡るBlu-ray の戦いは,HD- DVDから動画配信へと相手を変えて続くことになりそうだ。


次世代の記録メディアを超えて、ネットでのコンテンツ配信が将来的に取って代わるというような記事も最近増えてきている。物理媒体の直感的な操作性のようなものがしばらくは勝ると個人的には考えているので、あまりそういった論調に安易に同調しないことにしているが・・・。


IT media news の記事
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0801/16/news034.html


既存のDRM(デジタル著作権管理)技術には、「仕様非公開」「PC向け」などの制約があった。そこで登場したのが、家電メーカー主導で策定された「Marlin」だ。

 IPTVやWeb上の動画といったデジタルコンテンツの拡大により、DRM技術を標準化すべきとの声が高まっている。このホワイトペーパーでは、デジタル機器のネットワーク化がコンテンツ流通に与える影響、新たに台頭し始めているDRM技術について解説している。

 2007年現在、主なDRM技術としてマイクロソフトの「Windows Media DRM」やアップルの「FairPlay」があるが、どちらも独自のDRMであり一般メーカーでの採用は難しい。それに対し、「Marlin」は仕様が公 開されているほか、「DLNA(Digital Living Network Alliance)」と呼ばれるデジタル機器間の連携技術とも親和性が高く、高品質なサービスを提供できるという。

※将来、当ホワイトペーパー提供者の事情により公開を停止する場合があります。


ホワイトペーパーをダウンロード


今後の国内のDRMの動向を知る上で重要な内容。
NikkeiNet IT Plus の記事を全文引用 
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITba001007112007

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 2001年に生まれたP2P (ピア・ツー・ピア)用の通信プロトコル「BitTorrent(ビットトレント)」は、北米インターネット・トラフィックの3割から4割を占めると言わ れている。サンノゼで11月6~8日に開催されているストリーミング関連ビジネスの展示会「ストリーミングメディア・ウエスト2007」初日の基調講演 で、P2Pの老舗、ビットトレント社の社長で共同創業者のAshwin Navin(アシュウィン・ナビン)氏は、「動画によるトラフィックの急増で、従来型の配信方法はもたなくなる」との見方を示した。(ITジャーナリス ト・小池良次)

■IPビデオ急増でエクサバイト時代へ

 米国では、ユーチューブを筆頭に数えきれないほどのビデオベンチャーがひしめく一方、4大ネットワークが看板番 組をインターネットで配信するようになり、ストリーミングメディアがにわかに普及期を迎え、市場規模を拡大している。その半面、従来の大型ビデオサーバー による集中配信が難しくなり、アカマイなどのコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)も伸びている。

ビッ トトレント:2004年設立で、本社はカリフォルニア州。共同創業者で現在はチーフサイエンティストであるブラム・コーエン氏が開発したP2P技術 BitTorrentを提供する。BitTorrentは通常のP2Pネットワークと異なり、人気が高いファイルほど速く転送できるという特徴を持つ。ク ライアントソフトは1億5000万ダウンロードに達し、1日に数万人単位でユーザーが増えているという

 そうしたなか、重要なビデオ配信技術として注 目を浴びているのが、BitTorrentだ。最近では、ユーチューブの対抗勢力として注目されている「hulu」にも採用が決まっており、講演したナビ ン社長は「ABCやNBC、ディスカバリー・チャンネルなど、大手メディアが我が社の技術を利用している」とビジネス分野への浸透ぶりを強調した。 huluはNBCユニバーサルとニューズ・コーポレーションの合弁によるビデオ配信サイトで、フォックスおよびNBCの看板番組を来年から本格的に配信す る予定だ。

 ナビン氏はシスコ・システムズの予測調査を示しながら、2008年を皮切りにIPビデオのトラフィックが急増す ると指摘し、「近い将来、インターネットのトラフィックはペタバイト(1000兆)からエクサバイト(100京)時代に突入する」との分析を示した。そし て、これほど大量のビデオ・トラフィックを処理する時代には、「従来のクライアント・サーバー方式やCDNでは十分な対応ができない」と強調した。

 さらに、ナビン氏は、単純なP2Pでもエクサバイト時代を乗り越えるのは難しいとして、「P2PとHTTP (ウェブの主要転送通信手順)を組み合わせた『Hybrid P2P/HTTP』方式によるビデオ配信の確立が必要だ」と訴えた。 同社は現在、Hybrid P2P/HTTP方式を採用した「BitTorrent DNA」を販売している。DNAはDelivery Network Acceleratorの略称で、現在利用しているCDNを効率化するとともに、高い品質を保証している。

■ お茶の間への進出はP2Pビデオの重要課題

 講演の後半、ナビン氏はP2P市場の動向について触れた。ビデオ配信の担い手となるP2Pプロトコルは現在、 HD(高精細)対応やTimeshifting(いつでも鑑賞できる)、Placeshifting(どこでも鑑賞できる)、PCからテレビへの展開、 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やWeb2.0への対応といった課題を抱えているという。特に、PCをベースにした配信形態から CATVやIPTVなど茶の間で楽しむテレビ環境にP2Pが対応することの重要性を指摘している。

 P2PであるBitTorrentは本来、SNSやWeb2.0との親和性が高く、「ブロードバンドの普及にともない、より多くのコミュニティーベースビデオに利用されることになる」と自信を示した。

 講演の最後では、会場からの質問に答え、P2Pプロトコルによるプライバシー問題やインターネット接続会社 (ISP)とのトラブルについても言及した。ナビン氏は「P2Pだけがプライバシー問題に悩んでいるわけではない」と述べ、同問題がP2P技術固有の課題 ではないことを指摘する一方、運用面での対応が「より重要だ」とした。

 P2Pトラフィックの急増はネットワークへ大きな負担をかけており、米国最大のCATV事業者であるコムキャス トを筆頭に、多くのISPがBitTorrentプロトコルを制限する処置(トラフィック・シェーピング)を行っている。ナビン氏は、「そうした状況を引 き起こしているのは、オープンソースとして流通しているBitTorrentプロトコルによるサービスである」と反論する一方、同社がネットワークの効率 化、配信ビジネス向けに提供しているサービスは「そうした問題を抱えていない」と訴えた。

◇   ◇   ◇

 BitTorrentと言えば、日本で問題となっているWinny(ウィニー)のようなファイル交換アプリケーションと勘違いされることが多い。しかし本来のBitTorrentは、HTTPやFTPなどと同様、P2Pを取り扱う通信手順に過ぎない。

一方、同プロトコルをベースに様々なP2Pアプリケーションやサービスがあり、それらをBitTorrent tracker(ビットトレント・トラッカー)などと総称している。このトラッカーに対しては、全米レコード協会(RIAA)や大手テレビ番組制作会社 (HBO)などが現在も著作権問題で激しい規制活動を展開している。

 こうした状況をふまえ、ナビン氏は「技術としてのP2PおよびBitTorrentが重要である」と述べるとともに、ストリーミングメディア業界が安心して利用できるビジネス用BitTorrentの開発が着実に進んでいることをアピールしていた。

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これは、大変な良記事。 P2Pの現状などが非常に丁寧に説明。日本での展開も発表されているだけに、記事中で説明されている問題点などがどのように解決されるのか、あるいは解決は困難なのかを見極めたいところ。



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