YouTubeへのユーザーデータ提出命令、Viacomには厳しい利用制限

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毎日.jp の記事
http://mainichi.jp/life/electronics/cnet/archive/2008/07/04/20376597.html

UPDATE Googleは傘下のYouTubeのユーザーデータを Viacomに提出するよう裁判所から命令を受けた。しかし、Viacomに近い情報筋が米国時間7月3日、CNET News.comに語ったところによると、YouTubeにおける著作権侵害の横行を証明する目的以外でViacomがデータを使用した場合、 Viacomは法廷侮辱罪に問われる可能性があるという。

 これは重大な問題だ。法廷侮辱罪は弁護士資格の剥奪にもつながる可能性があるからだ。

 2日夜、連邦裁判所の裁判官はGoogleに対し、閲覧された動画、IPアドレス、ユーザー名といったYouTubeユーザーの行動に関する情報を、2007年から著作権侵害訴訟で争っている相手方Viacomに引き渡すように命じた。しかし情報筋がCNET News.comに述べたところでは、この命令は各ユーザーの個人情報を隠すための厳しい保護命令を伴っているという。

 保護命令の内容は、GoogleからViacomに引き渡されるデータを、ViacomはYouTubeが著作権を侵害する動画コンテンツの温床となっているという主張を証明する目的以外に使用してはならないというものだ、と情報筋は語った。また、ViacomはYouTubeのユーザーデータに直接アクセスできない、とも述べている。データへのアクセスは外部の法務顧問と専門家に限定されている。

 つまり、違法な音楽ダウンロードを行う個人に対する全米レコード協会(RIAA)の訴訟のような形で、Viacomが個人ユーザーを標的とすることは禁じられている。

 データの目的外使用は、訴訟でのViacomの立場を危うくするおそれもある、とConvergence Law Instituteの上級アナリストJim DeLong氏は述べている。「本来のものではない目的のためにデータを利用すると全体的な戦略を損なう可能性があるので、Viacomが実際にそういう使い方をするとは思えない。Viacomが焦点にしているのは、コンテンツプロバイダーとGoogleのような企業との間の基本的な関係だ」

 裁判所のデータ提出命令が明らかになると、怒りや憤りといった反応がすぐに現れ、主要なプライバシー擁護派は米連邦地裁の裁判官Louis L. Stanton氏の決定を強く非難した。「裁判所の命令は、(中略)YouTubeユーザーがどんな動画を閲覧しているかという、きわめて個人的な情報を晒す危険がある」と、電子フロンティア財団(EFF)のKurt Opsahl氏は2日夜、ブログに投稿している。「裁判所の間違った判断はプライバシーの権利を後退させ、ユーザーがYouTubeで何を視聴しているのか、Viacomが知ることを許してしまうだろう」(Opsahl氏)

 Search Engine LandのDanny Sullivan氏は3日朝、「この決定が、全国的なプライバシー基準を実現できる立場のさまざまな人々にとって、意識を変えるきっかけ、あるいは警告として機能して欲しいと思う。無駄話はもういらない。実際の進歩が必要だ」と書いた。

 動画視聴のモニタリングは、1980年代後半から連邦法の特に微妙な分野となっている。当時、Robert Bork氏が連邦最高裁判所の裁判官に指名され議論を呼んでいた。あるジャーナリストがBork氏の利用するビデオショップを突き止め、同氏のレンタル履歴を簡単に入手してそれを発表した。これをきっかけにビデオプライバシー保護法(1988年)ができた。

 EFFのOpsahl氏はブログで、「連邦議会が認めているように、鑑賞するビデオの選択は非常に個人的なものであり、強力な保護に値する」と述べている。

 それでは、ユーザーのプライバシーが実際に考慮されるとすれば、YouTubeの膨大な情報はいったい何に利用できるのだろうか。おおざっぱに言えば、政治に関する意識調査や消費者動向調査と同じような扱いということになる。データはモニタリングされ、証拠として利用するための処理を施される。推測されるシナリオは、新規のYouTubeユーザーが海賊版コンテンツをすぐに見始めることを証明する(巨大動画サイトYouTubeにとって海賊版コンテンツが多くのユーザーを集める材料になっていることを暗に示す)、そして、海賊版コンテンツしか見ないユーザー、主として海賊版コンテンツを見るユーザーがいることを証明する、といった流れだ。

 前述の情報筋によるとViacomは、個人が特定される可能性のあるものは低レベルの個人データ(例えば本名が含まれるYouTubeのハンドル名)であっても誰もアクセスできないように、ユーザー匿名化の技術を検討しているという。

 また、同じ情報筋は、今回の裁判官の決定はVeohやDailyMotionなどほかの動画サイトへ直ちに適用できるものではないと説明している。第一審による決定なので、控訴裁判所で結果が出なければ判例として利用されないというわけだ。

 しかしDeLong氏によると、それでも今回の決定はウェブの動画に対してもっと大きな影響を及ぼすという。「今回のことは、この問題に関する法律の内容をYouTube訴訟があらかた決定づけてしまう事例の1つであり、YouTubeに起きたことはすべて、いずれ他のウェブサイトにも適用されることになる」と、同氏は説明する。「どちらの側が勝ち、どういう問題が浮かび上がっても、訴訟は控訴裁判所に持ち込まれるだろう。そして、強力な判例となる」

 Viacomが3日になって出した公式声明の内容は、CNET News.comがそれまでに聞いていた話と一致していた。声明には、「われわれがこのような立場に立っているのは、YouTubeとGoogleが約束通り安全で合法的なユーザー生成コンテンツ体験を準備することが可能でありながら、自らの違法で無責任な行為を擁護し続け、著作権の侵害によって利益を上げているためだ」とある。

 「Viacomはいかなるユーザーの個人を特定できる情報も求めてこなかったし、これらかも求めない」と声明は続く。「われわれまたは社外の顧問が入手する情報はいずれも、個人を特定できる情報を含まず、YouTubeおよびGoogleとの裁判における立証の目的にのみ利用され、裁判所の保護命令に従い極秘扱いで処理される」

 一方、Googleは声明で、「Viacomに対し、ユーザーのプライバシーを尊重し、裁判所の命令の下でログを提出する前に匿名化することを認めるよう求めている」と述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。

動画の視聴行動の追跡については、RealNetworksが PlayerID 情報をユーザーに無断で取得していたことの改善を求められるなど、昔から議論されていたところ。不正な手段で個人の嗜好の情報を入手することができた人が悪用する可能性は非常に高いので、こういった命令はきわめて慎重になされるべきだとは思う。

しかし、それ以前にGoogle Toolbar などでかなりユーザー個人のWeb閲覧行動が取得されている模様だが、自体を規制する必要があるのではないか、と思う。

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