知事と記者会見/ネット配信のルール化を

|


河北新報の記事
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2008/05/20080505s02.htm

  山形県庁5階の記者会見室。4月某日、斎藤弘知事がさっそうと現れた。
 「おはようございます」。笑顔であいさつした後、立ったまま記事になりそうな話題を提供する。背後にオレンジと緑の格子状の壁紙。広報室の職員がその姿をテレビカメラでとらえ、インターネット上に中継する。

 2005年1月の当選以来、記者会見は累計で300回を超えた。「原則として毎日、記者会見する」と宣言した05年度は95回、06、07年度はそれぞれ99回に達した。本年度も週末や祝日を除くほぼ毎日、記者たちと向き合っている。

 庁内には「毎日は無理」「そんなに話題がない」と異論も多かったと振り返る知事。それでも、「知事を県民に身近な存在にするため必要なこと」と、信念を曲げなかったという。

 地元メディアにも当初、「実効性に疑問」「新任知事の気負い」と否定的なとらえ方もあったが、情報発信を続ける姿勢は意義あることと評価したい。

 共同通信が昨年3月にまとめた調査では、06年に全国の知事が開いた記者会見の回数の平均は29回。山形は断然トップで、2位の北海道(63回)、3位の長野(57回)を大きく引き離した。

 知事が何を考え、どんな政策を実行しようとしているのか、有権者が知る機会が多いに越したことはない。

 「県民に何をPRするか、職員が競い合うように話題を出してくれるようになった」。斎藤知事は毎日会見のメリットをこう強調する。

 民主的な県政運営を心掛けている姿勢が伝わってくるが、あえて1つ指摘したい。知事会見をめぐるネット配信のルール化のことである。

 リアルタイムの動画配信は庁内サーバーを使い、税金で費用を賄っている。その便利な道具を駆使し、県の施策をPRするだけならいいが、公正さを担保する義務が生じる問題もある。

 斎藤知事の任期切れを来年2月に控え、間もなく選挙のことが話題に上り始めるだろう。推薦・支持、あるいは対立候補の擁立など各政党の動きが次第に加速する。当然、記者会見でも選挙の動きに関連した質問が数多く出るはずだ。

 一般的に選挙で圧倒的に有利とされる現職が、ネット配信という武器も手中にした実態について、総務省は「告示前であれば、選挙運動の性質がなければ公選法には抵触しない」(選挙課)との見解を示すが、現実は法律を超えて動いている。

 斎藤知事は再選出馬するかどうかもまだ表明していないが、毎日会見する立場上、その責任は重い。法律論とはまた別の視点で良識ある運用ルールを定める必要があるのではないか。

地方自治体の動画での情報発信についてのルールについての提言の記事。このあたりは以前から公職選挙法の問題なども含めて、遅々として進んでいないところであるので、衆議院の選挙の時期などにまた議論が高まってくるかも。

前記事
「ネットテレビ」でサービス競う=今年を普及元年に-配信規格統一へ

次記事
YouTubeに民主党も公式チャンネル、日本では7政党に

広告




広告