[業界人コラム]中国のネット動画規制とその背景

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中国情報局NEWSの記事
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0304&f=column_0304_004.shtml


  日本でも話 題になっている中国の「インターネット視聴番組サービス管理規定」については、中国の国内ではちょっとした反発が発生している。この管理規定は Youtubeのような動画サイトを規制する法律で、今年の1月31日から施行されている。動画配信サービスを実施するには政府が認定したライセンスが必 要ということが重要なポイントの1つになっている。加えて、国家が経営に携わっている企業以外にはライセンスを付与せず、実質的にはライセンス取得が不可 能なことが問題にされている。

  しかし、規制が厳しいテレビ局に比べて、インターネットの動画配信の取り締まりに対する法的根拠がこれ までなかったことから、中国政府としても何かしらの規制がなければ、著作権侵害の蔓延を招くと判断したようだ。また昨年度から動画配信サイトは爆発的に収 益が伸びており、他者が作ったコンテンツの2次利用(ユーザー独自のオリジナルもあるが)による収益モデルであるところに、既存メディアからも不満の声が 挙がったのかも知れない。

  ちなみに、本規定には罰則が明記されていて、幾つかの事項に違反した場合は、是正命令の上、運営者に3万元 以下、出資者などには2万元以下の罰金が科されることになっている。ICPライセンスのようにサイトを停止するというところまでは明記されていないが、著 しい違反においては、広域テレビ管理条例にしたがって罰するとある。

  管理規定の施行から1カ月経過したが、今のところ大きな取締りは行われておらず、既存の有力サイト(土豆網、酷6網、優酷網、6度空間など)もこれまで通りの運営を続けているようだ。

   もちろん中国では本規定に対する反発が広がっており、オンラインリサーチ大手のiResearch社は、「ユーザーは自律的であり、動画配信メディアの 運営も健全であることから、“政策”は自然に存在意義を失うだろう」というコメントを出している。また、本規定を管轄する広電総局と情報産業部の責任者が 新華社通信のインタビューに答えたところによれば、「インターネット動画の発展は早く、日増しに影響が高まりつつある。膨大なインターネットユーザーの多 様性、個人の嗜好に終わりはない。しかし、性的、暴力的で低俗なコンテンツや著作権を侵害したコンテンツなどが少なからず見受けられる」という状況に対し て規制を強化する必要があると判断され、本規定が制定されたようである。

  急な規制に対して反発があるのは仕方がない。むしろ、日本で もテレビ配信に対して適用される法律が不明確であったことを考えると、きわめて妥当な判断かも知れない。しかし、ライセンスがないことに基づいて本当に罰 則規定を適用していくかどうかについては、まだ不透明だ。現実的には、そこまで厳しい対応をした場合は中国政府のイメージダウンにつながるリスクもあるた め、オリンピックを見据えつつ、著作権侵害コンテンツなどを規制していこうというのが狙いではないだろうか。

筆者:汪安迪(Andy Wang、網紀信息技術(上海)有限公司――日本名:ワンジーテクノロジーズ(上海)有限公司――総裁)
提供:ウェネバービジネス
免許制になったことはかなり大きく報道されたが、それ以降の状況については、それほど大きな動きはない模様。

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