より効率よく安全に・P2P技術競う米各社

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NikkeiNet ITPlus の記事
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITba001008112007


 米サンノゼで6日から開催さ れているストリーミング関連ビジネスの展示会「ストリーミングメディア・ウエスト2007」での最大のテーマのひとつがP2P(ピア・ツー・ピア)だ。 ユーザーが配信サーバーにアクセスしてストリーミングコンテンツを視聴する従来型のCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)サービスに比べて、 P2Pの仕組みを使えば配信側の負荷が軽減されコストも大幅に下がるなどのメリットがある。しかし同時に、情報セキュリティーや著作権違反、プライバシー 侵害などの問題も指摘される。会場ではそうした不安の解消をうたうサービスが数多く見られる一方で、不安を訴える声も依然として根強い。

 P2Pの長所と従来型CDNの長所を組み合わせてそれぞれの欠点を解消しようという取り組みのキーワードが「ハ イブリッド」だ。P2PとHTTP(ウェブの主要転送通信手順)を組み合わせた「ハイブリッド P2P/HTTP」方式は、初日の基調講演でビットトレントのアシュウィン・ナビン社長が強く必要性を訴えていた。展示会場でもハイブリッド型CDNサー ビスをアピールする企業が少なからず見受けられた。

テレビドラマからオンライン通販につながる画面。左下に出ている小さな画像をクリックすると、出演者が着ている服を買える通販ページにつながる

  そのひとつがブロードランプ(米テキサス州サンアントニオ)の「MCDS(マネージド・コンテント・デリバリー・システム)」だ。動画のエンコード、ホス ティング、コンテンツ配信などのサービスをトータルに提供するもので、売り物が「64GBの動画ファイルを50MBまで圧縮でき、十分な画質を保つ」(ブ ロードランプ担当者)という技術。HD画質にも対応しているという。

 動画や文書などさまざまなファイルについてのアクセス権限を企業などの顧客側で設定できる仕組みにより、コンテ ンツの公開範囲も明確に管理できるという。担当者は「米国海軍と空軍が訓練ビデオの配信や文書管理などに使用している。政府関係の導入実績もある」と、信 頼性を強調する。このほかの機能としては、テレビ番組とオンライン通販を組み合わせるという仕組みを備えている。例えばドラマの出演者が着ている服をク リックするといったん再生が止まって通販の注文ができる画面が現れ、注文が終わるとまたドラマに戻るというものだ。JCペニーなどの大手小売業やネット通 販会社などと提携しているという。

 アイティバ(米カリフォルニア州パロアルト)も3月に始めたばかりのハイブリッド型CDNサービスをアピールし ている。動画ファイルを細かく分割する仕組みなどにより、ファイルが違法に共有される問題を防ぐとしている。担当者は「ライムライトやアカマイといった従 来型のCDNよりコストは25%程度安くなる」という。

 P2Pで大きな問題となっている著作権侵害への対策を打ち出す企業もある。動画コンテンツがネット上で違法に流 出していないかの監視サービスを展開するベイTSP(米カリフォルニア州ロスガトス)は、現在ベータテスト中の新サービス「CAP(コンテント・オーセン ティフィケーション・プラットホーム)」を展示している。

 同社は従来から映画会社やテレビ局、アニメ会社などの依頼を受けて、動画コンテンツがP2Pで違法にやり取りさ れていないかを監視するサービスを展開している。動画に付随しているテキストやメタデータといったキーワードやファイルの大きさなどをもとに違法コンテン ツかどうかを判断し、チェック担当者が目視で確認したうえで依頼元に知らせるというのが従来のサービス。それに加えて今回新たに開発しているのは、グーグ ルの著作権侵害防止策「フィンガープリント」などの電子証明をネット上の動画コンテンツから読み取り、元の動画の電子証明と照らし合わせることで違法コン テンツかどうかを自動的に判断するというものだ。

 一致度がほぼ100%ならただちに依頼元に通知し、十分に高い一致度だった場合はチェック担当者が目視で確認したうえで通知する。ユーチューブをはじめとしてヤフービデオやグーグルビデオ、マイスペースビデオなどが監視対象となっている。

 しかし一方で、P2Pに対する不信感もまだ根強い。CDNサービスのミラーイメージ・インターネット(米マサ チューセッツ州テュークスベリー)の担当者は「コンテンツがどこにあるのかを明確に把握できることが重要だ。だからわれわれはP2Pは手がけず、あくまで 従来型のCDNでいく」という。CDN大手のライムライトも「P2Pに関しては、現在戦略を検討中」と慎重な姿勢だ。

  動画コンテンツを保有する企業側の話も聞いた。米大手メディア系列のダウ・ジョーンズ・オンラインでテレビ部門を担当するボブ・レバロン・バイスプレジデ ントは「われわれは動画配信事業において、P2Pは使っていない。金融情報などを扱っている関係で、セキュリティーには特に神経質にならざるを得ない」と 語る。P2Pが一般ユーザー層のみならず企業社会においても「市民権」を得るには、ハイブリッド技術の進化などにより不安感や不信感を解消することが必要 なようだ。

IT Plus にはストリーミングメディアウェストの記事がかなり多く書かれていて、なんとなく現在のアメリカの業界のムードが伝わる。P2Pがホットなようだが、これが本当に次のトレンドになるかは?単純なストリーミングやCDNでは技術が枯れてきているだけのような気もするが。

Winny の件もあるので、国内では盛り上がりにくいか。

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